小笠原諸島は…
おがさわら丸
おがさわら丸
ははじま丸
ははじま丸
小笠原諸島までの地図(聟島列島・父島列島・母島列島・火山[硫黄]列島)

東京の南およそ1,000Kmに位置する大小合わせて30あまりの島々が小笠原諸島です。

現在は父島、母島の2つの島に人々が暮らし、交通手段は東京竹芝桟橋と父島を結ぶ、週に一度の定期船「おがさわら丸」のみで、片道24時間かかります。

50Km南に離れた母島へは、「ははじま丸」でさらに2時間を要します。

亜熱帯に位置し、夏と冬の温度差が少なく、冬でも最低気温が15℃程度と暖かで、父島に約2,000人、母島に約500人が暮らしています。

小笠原の島々は、これまで1度も大陸をつながったことのない「海洋島」で、島の誕生以来、長いあいだ地理的に隔離されていたため、生き物たちは独自の環境で進化し、世界でもここでしかみられない固有種が多く誕生しました。

2011年6月、小笠原諸島は、海洋島での独自の進化の過程が評価され、ユネスコの世界自然遺産に登録されました。

小笠原固有の野生動物

アカガシラカラスバト

Columbajanthina nitens

小笠原諸島のみに分布する固有亜種。国内希少野生動植物種。天然記念物。

体重400〜600g程度。羽は金属光沢を帯び、頭部はピンク色、首から胸にかけて緑紫色。幼鳥は全身黒色。主に種子や果実を食べ、一日の多くを地上で過ごす。主に地上に営巣する。巣は小枝を積んだ簡単もので、数週間の間、ヒナは巣中に1羽で1日数回の親鳥の給餌を待つ。成鳥は「ウ〜ゥ〜」という太い声で鳴き、「アカポッポ」という愛称を持つ。一時は推定数十羽程度まで減少した。ネコ対策により回復傾向にあるが、まだまだ超のつく絶滅危惧種。同属の固有種オガサワラカラスバトはすでに絶滅した。

 


ハハジマメグロ

ハハジマメグロ 

Apalopteron familiar hahasima

小笠原諸島母島列島のみに分布する固有種。国内希少野生動植物種。特別天然記念物であり、世界的な稀少種。メジロよりひとまわり大きく、体長は13cm程度。額にはT字型、目の周りには逆三角形の黒い斑紋がある。雑食で、昆虫、クモ、果実、花粉などを食べる。樹上でも地上でも採食する。生息する島の間でほとんど行き来がなく、それぞれの島で独自の進化が始まっている可能性がある。このため島の個体群ごとに守っていく必要がある。基亜種ムコジマメグロはすでに絶滅した。

 


オガサワラオオコウモリ

オガサワラオオコウモリ 

Pteropus pselaphon

小笠原諸島のみに分布する唯一の固有ほ乳類。国内希少野生動植物種。天然記念物。翼を拡げると80〜90cm、体重は400〜600g程度。全身を覆う黒い体毛に銀白色の毛が交じる。夜行性で、昼間は樹上にぶらさがって休む。植物の果実、葉、花の蜜などを食べ、咀嚼後に液体だけを飲んで、種子や繊維はペレットとして吐き出す。エサを求めて地上にも頻繁に降りる。森の進化に必要な種子散布や、花粉媒介の役割を担う。主要な生息地(父島、南硫黄島、北硫黄島)の間でほとんど行き来がなく、それぞれの島の個体群ごとに守っていく必要がある。

 


オガサワラカワラヒワ

オガサワラカワラヒワ 

Carduelis sinica kittliz

母島列島と南硫黄島のみに分布する固有亜種。国内希少野生動植物種。肌色の太いくちばしが特徴。背部と腹部はオリーブ褐色。風切羽の一部が黄色。体長13cm程度。エサは落下種子などで、頻繁に地上に降りる。母島列島では現在急速に数が減っており、近い将来の絶滅が危惧されている。大きなくちばしで地上を徘徊しながら種子を食べる同科の固有種オガサワラマシコはすでに絶滅した。


母島南崎で繁殖する海鳥
カツオドリ

カツオドリ 

Sula leucogaster

世界の熱帯、亜熱帯域に分布する。小笠原諸島を代表する大型海鳥。海上で暮らし、繁殖のために陸地に降りる。無人島、離礁の崖に小枝や草などで簡単な巣をつくる。翼を広げると1.4m。2卵を生むが、育つのは1羽。成鳥は上面が黒褐色、下面(腹部と翼下面)が白色。くちばしの基部の色が雌雄で異なる。矢のように海に飛び込み、鋭いくちばしで魚やイカを捕らえる。


オナガミズナギドリ

オナガミズナギドリ 

Puffinus pacificus

太平洋、インド洋に広く分布する。小笠原諸島を代表する中型海鳥。裸地や草地の地中に、足の水かきで穴を掘って巣をつくる。1卵を産み、1羽のみを育てる。広げると1mになる長い翼で、羽ばたかずに海面をグライダー飛行する。身体、翼の上面は黒褐色、下面は白い。海上で暮らし、繁殖のために陸地に降りる。魚群の上に群れ(鳥山)をつくる。

 


有人島の森

海底火山の活動により、約4800~4400万年前に形成された小笠原諸島。大陸から遠く離れたこの島には、空を飛んで、鳥に運ばれて、風に乗って、流木に乗って辿り着いた生き物たちだけが、ゆっくりと時間をかけて築いた自然がありました。外敵や競争相手の少ないなかで、島の環境に合ったものだけが生き残り、小笠原だけにしかない生態系をつくりだしてきました。

約170年前、この楽園に人間がやってきて、人間が連れてきた生き物たちも、この世界に仲間入りすることになりました。外敵のいない環境で生きてきた警戒心が薄い動物たちに、優秀なハンターであるネコが加わり、森の姿は少しずつ変わり始めてしまったのです。

父島地図

父島は広さ23.8K㎡、島の周囲は52Kmで切りたった崖や砂浜の海岸線です。

 

島のほぼ真ん中に位置する中央山の標高は319m。山が低いため雨雲ができにくく乾燥していることから、北東部や南西部には背の低い「乾性低木林」が広がっています。


母島地図

母島は南北に細長く、広さ20.2K㎡、島の周囲は58Kmで海岸線は砂浜が少なくほとんどが急峻な崖になっています。

 

最高峰の乳房山の標高は463m。山頂付近は雲霧に覆われていることが多く、雨や湿気を好む「湿性高木林」が広がっています。